3相コンプレッサのモータ起動するインバーター!
※マイコン型インバーター

2005-09-02


※AC3相誘導モーターの実験

 農林業で作業の小屋が山の上の方に設置されている場合などの電源は、単相電源が多くあり、3相電源が必要なコンプレッサーが使用できません。 コンプレッサーは電磁接触器とモーターと圧力スイッチで構成されており、インバーターで駆動できます。
下記について注意します。
1)単相入力には、3相モーターの定格電流値の約2倍が流れます。
2)モーター起動時には、定格電流値の約6倍が流れます。
3)モーター電流波形は、正弦波にします。
以上のことよりモーターは5馬力までで、制御は正弦波PWM方式となります。


図1.ブロック図
※仕様

 今回製作に使用するCTは、L01Z100S05です。定格電流は、100ATです。定格出力電圧は、2.5V+1.5Vです。
短絡保護を70Aとして、ボリュームで3.59Vに調整します。
IGBTの仕様より短絡保護応答時間は10μSとします。


仕様書
※ハードウェア

 実験するインバータのブロック図を図1に示します。
 図2にインバータのタイミング・コントロール部を示します。
タイミング・コントロール回路は、上下のIGBTのON/OFFが切り替わる際に流れる貫通電流をできるだけ小さくします。この回路の時定数を大きくすれば貫通電流は小さくなります。外部CRをR=12kΩ、C=470pFとすると、上下約6μSの遅延形になります。
 図3に製作したインバータのスナバ回路を示します。
@ スイッチング素子がOFFしたときに配線のインダクタンス成分に蓄積されたエネルギーによって、スパイク電圧が発生します。各モジュールに1.5μFのフィルム系の高周波用コンデンサを接続し、高周波電流をバイパスさせる。CRの直列回路を接続し、リンギングを除去します。
A 主回路電源(電解コンデンサ)と素子間は、インダクタンスを減らすためKIV5.5muを平行に配線する。各モジュール間は、0.4oの銅板を重ね合わせ幅46oで配線する。(閉回路の面積小さく)
B ドライブ回路部とパワー回路部が別なので、ノイズによる誤動作を防止するために、線材をツイスト状にし、ゲート抵抗と保護用のツェナ・ダイオードはゲートのすぐ近くに実装する。ドライブ回路の電源よりコレクタに先に電圧が加わったときの対策として、ゲート・エミッタ間に抵抗を入れて、ゲートがハイ・インピーダンスにならないようにする。


図2.タイミング・コントロール部

図3.スナバ回路

基板の回路図

電源投入時、主回路電源(電解コンデンサ)を充電するため、約1s遅れて運転します。
□ 保護回路
過電圧保護回路(OV)
入力電圧が高く入力したり、大きなサージ電圧が発生したとき検出します。回路定数では、入力電圧が236V〜251Vの範囲で過電圧の検出が可能です。
□ PLD
マイコンより回転速度と出力電圧の調整の発振信号と運転/停止信号と、ドライバICより過電流信号に基づく6つの主スイッチの駆動パルスを生成する。
@ 回転速度調整クロック :f_carrer
f:モータ電流の周波数
f_carrer:回転速度調整クロックの周波数
1周期120ステップ
f_carrer=f×120[Hz]
A 出力電圧可変クロック :f_vf
回転速度調整クロックの周波数の約30倍以上(カウンタ5ビット)
この周波数が高くなるほどPWM ON幅が短くなり、出力電圧が下がる。
起動補助ボタンの場合、約120Vに設定しています。
f_vf=f_carrer×k
k:約30
B 運転/停止信号
ON(L):運転
OFF(H):3ステート出力
C 過電流信号
ドライバICからの過電流信号をラッチして、PWM出力をOFFさせます。ラッチの解除は電源の再投入でRESETとしています。過電流信号をマイコンに出力します。


※ソフトウェア

 回転速度と出力電圧の調整に発振回路をCPLDに出力する。発振子として、10MHzのセラロックを使った場合、 59.2/50.1Hzとなり、9.216MHzの水晶では60/50Hzとなる。
 発振停止、過負荷、充電の表示LEDを動作する。
 基板上の50/60Hz切り替えSWと、起動補助ボタン、サーマルを入力し、発振と運転/停止信号をCPLDに出力する。


内部ラッチ

Dラッチの制御には、クロックの代わりにイネーブル信号を使います。イネーブル・ラインが”H”のときは、 このラッチはD入力を読み込み、”L”のときは自分自身を読み込んでデータを保持します。 エッジ・トリガ型のDラッチの回路は、外部クロックがLからHに切り替わったところで、 1システム・クロック分のイネーブル信号を出します。つまり微分回路です。これをイネーブル・ラインにつなげば、 立ち上がりで動作するDラッチとして働きます。


基板

※実験結果

電圧波形は、矩形波で、電流波形はモーターのインダクタによって平滑されて正弦波状になっています。
モーターはロックしないで、回転します。


写真 電圧電流波形

※リソース

コントロール基板の回路図 ドライブ基板の回路図
プログラム

参考文献:PIC16F648A
ASICの論理回路設計